プラモタイムカプセル

主にカーモデルのプラモ製作記録です。守備範囲は70年代から90年代のレーシングカーとラリーカー、スーパーカー、いわゆる「旧車」のロードカーなどです。

ニッサン シルビア(AOSHIMA) #3 解説編

こんばんは。

コロナ体制は解除されましたが、休日ごとに天候不順で今一つ気分が晴れませんね。

 

さて、アオシマさん S13シルビアの解説編です。

前回のボタン電池内蔵の種明かしをしていきますよ。

 

この電源の用途は、・・・

ライト点灯!

ライトの電飾でした。・・・結局、合計19個もLEDを使用してしまいました。

 

そのプロセスをご紹介します。

 

最初にボディ側の加工から。

ボディのLED埋め込み場所に孔を開けていきます。

フロント側の孔開け。車幅灯とウインカー(車幅灯の後ろとバンパー内)、計6箇所です。残りのLEDはフロントグリルに埋め込みます。

テール側。ブレーキランプ(左右2個ずつ)とウインカー(左右)、計6個開けます。

ヘッドランプ用の3mm径の白色LEDには、少しスモークブラウン調のクリア塗装をしておきます。

ヘッドライト用白色LED+スモークブラウン塗装です。

ウインカーやテールランプにはチップLEDを使用します。
用途により発光色は異なりますが、どれも次の写真と同サイズで「1608」と呼ばれる1.6mm x 0.8mm サイズのものです。

チップLED(1608サイズ)~ 写真のは赤色発光です。
M3ナットはサイズの参考用に置いたものです。
電線は実際に使用するツイストペアバラシ線です。

チップLEDの拡大写真
右側のLEDは裏返しになっており、端子部と極性記号が見えます。
向かって下側(アノード)から上側(カソード)に電流を流すと発光します。
金色の端子部に右の電線をハンダ付けします。

電線をハンダ付けしたLEDをリアスポイラー内のハイマウントストップランプに埋め込みました。テスト発光は次の写真の通りです。

ハイマウントストップランプ点灯状態です。

配線済のチップLEDをボディ内側からゼリー状瞬間接着剤で固定します。

白線がマイナス(カソード側)です。マイナス側配線はフロント、リア共になるべく1本にまとめます。

配線はグジャグジャですが、後でまとめます。

テールランプ側もLEDを取り付け、ウインカーレンズを接着します。スポイラーも取り付けます。

テールランプ側です。

配線をまとめて、ボディ内側に固定します。

まとめた後の写真です。

内側はこのようになってます。コネクタは制御基板に接続するためのものです。

次はシャシー側です。ボンネットは開閉可能なので、本来エンジンが載る場所にLR44ボタン電池x3個が入る電池ボックスを仕込みます。これはタミヤ RX-7のときに使った100均のランプと同じものです。

スイッチは前輪の間にランプをバラシたリードスイッチ(磁石を近づけるとONになるスイッチ)を仕込んでいます。

(多分数十mAならば耐えられるはず・・・;写真ありません、悪しからず。最初の写真で前輪の間の床に写っていたのはマグネットなのです。)

シャシーの状態です。後部の角プラ棒は基板固定用、奥のコネクタは基板に電源供給用のものです。

今回は大量にLEDを投入したので、制御もマイコン制御で行います。

「S13シルビア」のランプ系統は以下のように分けて制御できるようにしています。

 

(1)ヘッドライト(下向き)  白色 3mm砲弾型 x2
(2)ヘッドライト(上向き)  白色 3mm砲弾型 x2
(3)車幅灯     温白色 チップLED x2
(4)フォグランプ   黄色 チップLED x2
(5)ウインカー(左) 黄色 チップLED x3
(6)ウインカー(右) 黄色 チップLED x3
(7)テールランプ(ストップ共用) 赤色 チップLED x4
(8)ハイマウントストップランプ  赤色 チップLED x1

 以上、LEDは計8系統、19個使用します。

制御はArduinoで行ってもよいかと思っていましたが、今回は機能とスペースの都合上、PICにしました。

PICはMicrochip社のマイクロコントローラで、プログラミングはC言語で行います。
開発ツール「MPLAB X IDE」(統合開発環境)及び「XC8」(Cコンパイラ)は無償で提供されています。
(因みにArduinoC言語ライクなArduino言語を使用します。)

 

8系統のLEDを制御するため、DIP8ピンのPICだと入出力は最大6個(出力は5個)なので、それよりも入出力数の多い14ピンのものを採用します。

今回使用したのはPIC16F1823です。

このチップは入出力12個を備えており(ただし1個は入力のみ)、LEDの明度制御に適したPWM機能も備えている多機能チップです。

少々オーバースペック感もありますが、手持ちにあったのでこれを使用します。

制御基板はユニバーサル基板を切り出して作成しました。

PICのデータシートと製作した制御基板です。
上段14ピンのDIP ICソケットはPIC用、その下の8ピンx2列のソケットは電流制限用抵抗を挿すためのものです。
最下段の9ピンソケットは車体(LED)への接続用です。

プログラムは「路肩駐車状態からライト点灯、ウインカーを出して発車して、途中ブレーキを踏んで、ウインカーを出して停車、消灯」をシミュレートしたものです。

(プログラム詳細は恥ずかしいので非公開です。)

開発ツール「MPLAB X IDE」の画面例です。

プログラムのサイズはメモリ容量の約60%、データは約20%の使用でした。
特に最適化は行っていませんでしたが、もう少しの機能は組み込めそうですね。

 

LEDは発光色や品番により電圧降下(Vf)や発光効率(明度)が異なりますので、後から調整できるようにしておきます。

車体に取り付けたLEDは駆動単位で電池に接続して明度を確認し、抵抗値を決めておきます。

プログラムを焼き込んだ(といってもフラッシュROMですが )PICをソケットに挿し、抵抗も所定の対応ソケットに挿します。

今回は電源4.5Vで、(一番暗いはずの)車幅灯用(2個並列)が1.8kΩ、その他は全て220Ωとしました。

テール(ブレーキ)ランプLEDは走行中とブレーキ作動時を兼ねているので、PWMで2段階に明度を切り替えています。

プログラム入りPICと抵抗を取付後です。
左上コネクタが電源供給用、下の9ピンソケットが車体LED用です。

制御基板をプラモ本体に組み込みます。

制御基板は模型のトランク部分にネジ止めし、全てコネクタ接続する方式にして、改造・メンテが必要な際は取り外しができるように配慮しています。

 

上下合体前です。コネクタやケーブルが結構嵩張るので閉めるのが大変なんです。

ということで、何とか完成に漕ぎ着けました。


完成後のライト点灯動画を披露いたしましょう。

どうぞ。


youtu.be

 

では、製作まとめです。

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キット: アオシマ 1/24 ザ・モデルカー '88 S13 シルビア K's/'91 PS13 シルビア K's(2in1)

完成年月: 2023年5月

コメント:

 アオシマさんのS13シルビアのキットは2007年頃の発売でしょうか?タミヤさんよりも新しいキットです。キットではエンジン上半分が再現されていますが、今回はS13型Q'sで製作し、灯火類の電飾も行うため、エンジン搭載はオミットして電池スペースにしてしまいました。アルミホイールも後期型しか付属していないので、前期型を再現するためにタミヤさんのアフターサービスにお世話になりました。

今回、電飾のLEDを多数取り付けましたので、この工作が一番苦労しましたね。プログラム自体は以前作成したPICバージョンのプログラムが紛失してしまい、Arduinoに移植バージョンを再度PICに移植・改造しました。
PICはチップ毎に初期設定の仕方(レジスタ名と設定値)や入出力ポート名が結構違うので、新しいチップを扱う際はデータシートとの格闘が必要です。
やはり積載スペースが許せばArduinoがお手軽ですね。Arduinoはハード初期化部をプラットホームが吸収しており、ほぼ統一した手順で扱えるからです。Arduino化したAtmel AVRチップのみを載せるという手もありますが。次回(あれば)の検討課題です。

ボディ塗装の再現度は今回の方が実車に近く再現できたと思うので満足です!

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さて、長かった奮闘も一段落、

これでランチアデルタの製作に戻れるかな?

 

では、また。